自転車屋を営む実家の倉庫で
何か面白いもんないかなと物色していたら
埃をかぶった小さな道具箱がでてきた。
幅15cm、高さ20cm、奥行30cmほどの
こぢんまりとしたサイズで縦3段の収納。
上段は、天板がフタになっていて
片側に蝶番が付いている。
中段は浅型の引き出し
下段は、深型の引き出し
という感じ。
引き出しの中には、見慣れない工具が
乱雑に収まっている。
聞くと、ややこしい修理をするときにたま使う
普段は出番が少ない特殊工具とのこと。
その変わった形の特殊工具たちにも
興味をそそられたけど、
それらが収められてる埃と油にまみれた
なんとも言えない佇まいの道具箱のほうに
僕の目と心は、奪われてしまった。
きちんと見ると、とても良く作られている。
蝶番や取っ手も格好良く、細工も丁寧。
昔の水屋箪笥をそのまま小さくしたよう。
きっと制作者は、この道具箱を
楽しみながら作ったんだろうなぁと。
この道具箱どうしたの?と、父に尋ねると
なんと、酒造の大樽を作る職人だった
僕の曾じいちゃんが、
鑿とかを入れるために作ったものだという。
それを聞いて
とてつもなく感動してしまった。
80年以上も前に作られたものが、
身内で代々引き継がれて、職は違えど
今も現役で使われている。
道具箱をなでながら、
だからこの佇まいなのかと納得した。
で、普通なら、そこまで感動したのなら、
道具箱よ、このまま現役で実家のために働き続けてくれ。
と元の位置に戻すのだろうけど、
悪い虫が騒ぎ出してしまって。
今、なぜかわが家にあります。
実家の道具箱があった場所には
MUJIのポリプロピレンの収納ボックスが。
ごめん、おとうさん。
すぐに使うあてなんてないのに
無理やり引き継いでしまった道具箱。
ちゃんと、がたつきも直して
キレイに拭いてあげた。
とりあえずは
眺めてるだけで幸せになんだけど
はて、僕の代ではどういうふうに使おうか。
ちなみにいずれ娘たち渡して
裁縫箱にでもなればいいな
なんて思ってる。
(でむ)
